知っているようで分からないことも多くある相続の手続き。分からないままに時間が過ぎることへの不安を持つ方も多いのでは。注意すべき点や何を知り何を行えば良いかが見えてくれば、その不安を安心に変えることが出来ます。ファイナンシャル・プランナーの加藤義彦様を講師にお招きし「相続で大切なこと」についてお話をして頂きました。
・日時 2021年3月13日(土曜日)
・会場 市民プラザホール(東久留米市役所1階)
・講師 ファイナンシャル・プランナー 加藤義彦様
・主催 くるねっと
・共催 東久留米市
会場はいつもの市民プラザホール、コロナ禍での講座のため、定員を30名に設定しての開催です。
参加の皆様には、手の消毒、検温、マスク着用で入場して頂きました。(間隔を広くとった座席配置)
講座を案内するチラシは開催日の約一カ月前から配布しましたが、参加申込みは早い時期に定員に達し、相続への皆様の関心の高さを感じました。
司会進行は、東久留米市生活文化課 塚田様にお願いしました。
くるねっとの石川代表から、くるねっとの活動や今回の講座開催までの経緯、目的など、お話をさせて頂きました。
司会の塚田様から講師を紹介して頂き、開講です。
講師の加藤義彦氏(写真:左下)はファイナンシャル・プランナーとしてご活躍されていますが、特に、相続、不動産や金融試算についての実務経験が豊富で、セミナーでは経験に基づいた話を心がけているとのことです。
<開講> 遺産相続でのトラブルは良く耳にします。相続手続きの過程で発生する問題とはどの様なものなのか、そして、問題を発生させないための対策とは何か、数多くの問題を解決してきた講師から、問題を起こさないために「相続で大切なこと」について、様々な事例を参考に、お話を伺いました。
◆相続手続き
先ずは、遺産相続手続きの一般的な流れを確認しました。
・戸籍収集(相続人調査)・財産調査 ⇨・遺産分割協議 ⇨・預貯金等手続き・不動産登記
この流れの中で、遺産分割協議で問題発生が多く見られ、その主な原因は、遺産分割に相続人の合意が得られないこと、そして、「遺言」が無い場合に問題の発生が多いとのことでした。
「遺言」がある場合では、相続人への遺産配分は「遺言」によって決まり、遺産分割協議の必要が無くなることで、問題の発生を回避出来ることになります。
□相続の問題を引き起こさせないためにも、「遺言」の必要性を改めて確認出来ました。
◆遺産分割協議の前に必要なこと
◇戸籍収集(相続人調査)
相続手続きには、被相続人の戸籍一式が必要となります。戸籍を数多く移動している場合、全てを取り寄せる必要があり、大変な作業となります。
遺産分割協議は法定相続人全ての合意が必要です。相続人が多く、また、疎遠な相続人が居る場合など、把握が難しいこともある様です。
◇財産調査
被相続人が持つ全ての財産を調査します。多くの金融機関に預貯金がある場合、ネット銀行などに被相続人しか分からない預金がある場合など、時間がかかることになります。
□後に問題を起こさないためにも、これら正確な情報を基に、遺産分割協議を行われること、ただ、相続が発生してからの調査となり難しさがある様にも感じました。
◆遺言書
◇遺言書の作成
相続発生後の配偶者の生活、子供の将来、家の建替えなどなど、様々な不安を持つものです。遺言書の作成は、遺産分割に対しての具体的なイメージを持って進めることが大切とのこと。
・相続人は誰なのか、誰にどう相続したいのか。・・(相続人調査)
・相続する財産(預貯金、不動産)は、何処にどれだけあるのか。・・(財産調査)
◇遺産分割事件
家庭裁判所に持ち込まれた、遺産分割事件と調停が成立した遺産総額別割合が示され、遺産総額に関係なく問題の発生が読み取れました。「遺言」は大切な役割を負うことになります。
◆遺言の種類と執行手続き
ここまで「遺言」の大切な役割を確認してきました。次に「遺言」の種類について、そして、相続が発生した時、「遺言」をどう執行(手続き)するのか、被相続人が知っておくべきことを説明して頂きました。
◇遺言書の主な種類
自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、それぞれについて説明して頂きました。自筆証書遺言が認められるようになり、その数は増えているとのこと。問題の発生を防ぐためにも、先ずは、書いて残すことが大切で、その作成に当たっては、やはり専門家へ相談する様、講師からのアドバイスがありました。
◇遺言の執行手続き
公正証書遺言は相続の発生後、直ちに執行が出来ますが、自筆証書遺言では、自分で保管する場合と法務局の保管制度を利用する場合とで、執行できる遺言書とするまで、手続き上に大きな違いがあることを知りました。
□相続の手続きに手間がかかれば問題を引き起こしやすいもの、作業の軽減は問題回避にもつながると感じました。
◆その他
◇法定相続情報一覧図
手続きをすることで法務局から交付されます。後の、金融機関での相続手続き(預金の引き出し、名義変更)などが、この書類一枚で出来るため、作業を大幅に軽減出来るとのことです。
◇不動産の相続
土地、建物などの不動産は価値も高く、分割をしにくいもの、また、相続人は継続的にそれらを使用することから、問題を引き起こしやすい相続財産の一つです。相続後のことまでを考えての分割イメージを持って「遺言」に反映させることが大切とのこと。いくつかの事例を紹介してもらいました。
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<講座を終わって>
「遺言」は「相続で大切なこと」の一つであることを改めて確認しました。そして、相続発生の前から、先送りすることなく取り組んでおくことの大切さを知りました。
第8回ライフプラン講座へ参加して頂いた皆様はどう感じたでしょうか。
相続は、まだまだ先のこと、と思われている方、今日の講座で相続で大切なこととは何かに気付き、今、出来ることは何かを考えるきっかけとなれば幸いに思います。
参加して頂いた皆様、ありがとうございました。
今回の講座は、コロナ禍で行われたため個別相談は中止させて頂きました。
くるねっとでは、今後も皆様のお役に立てる情報を発信して行きたいと考えています。次回の開催が決まりましたら、内容などの詳細をチラシにてお知らせ致します。
活動紹介:くるねっと