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執筆者の写真くるくるチャンネル事務局

くるくる保健室 No.6 『スポーツの秋くれぐれも膝にはご注意を!』


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記録的な暑い夏も終わりを告げ、秋風が肌に心地よく感じられ始めた今日この頃ではございますが、秋の運動会シーズンの真っ只中でもあり、スホーツの秋という事もあって、そろそろ何か運動でもしようかなぁと思われている方々が多いのではないでしょうか…?

そんな中、先月厚生労働省研究班より以下の内容の発表がございました。それは、「膝の痛みに悩む中高年は全国で1800万人に上ると推計」「膝関節の軟骨がすり減って痛むようになると、要介護に移行するリスクが5.7倍高い」という発表でした。前回のくるくる保健室でお話しさせていただいた『腰痛』では2800万人が腰痛に罹患していると書きましたが、それに続く多くの数だと思います。

世界保健機構(WHO)は2000~2010を『運動器の10年』とし、世界各国と連携して、種々の原因による運動機能障害からの開放を目指し、終生すこやかに身体を動かすことができる「生活・人生の質(QOL)」の保証される社会の実現を目指すという基本理念で活動いたしました。 日本臨床整形外科学会でもこの関節の10年運動から引き続き、コロモティブシンドロームの予防を謳っております。初めて聞いたという方もいらっしゃるかと思いますが、ロコモティブシンドローム通称ロコモは運動器症候群と訳され健康寿命・介護予防を阻害する3大因子の一つとされております。あとの2つは皆様もご存じのメタボリックシンドローム(メタボ)と認知症です。メタボは心臓や脳血管などの内臓の病気によって健康寿命が短くなったり、要介護状態になるのに対し、ロコモでは運動器の障害が原因で起こります。

運動器と漠然と言っても分からない方のために、骨・関節・靭帯・脊椎・脊髄・筋肉・腱・末梢神経など、体を支え(支持)、動かす(運動・移動)役割をする器官の総称を言います。先ほどの研究班が発表した調査結果から公共交通機関が不便で、歩く機会が少ないなどの地方に住む人のリスクがより高いことも同時に分かったそうです。やっぱりロコモも予防・早期発見・早期治療が重要であることが明らかですね。 調査内容は2000年以降、東京、秋田、新潟、群馬、三重、和歌山、広島などで行われている大規模な追跡調査のデータをもとに解析され、足腰の健康に重点を置いた健康診断を受けた約1万2千人(平均年齢70.5歳)のうち、過去1カ月以内に1日以上続く膝痛や医師の診察で膝痛を訴える人は、2010年度で32.7%いらっしゃいました。この数値を国勢調査結果に当てはめ、全国の「膝痛人口」を1800万人と推定し、65歳以上に限ると、3人に1人が膝の痛みに悩んでいるという結果が出ました。


和歌山県に住む65歳以上の約1千人を最長5年間経過観察した調査では、期間中、膝の軟骨がすり減る病気で、潜在的患者数は3千万人と推定される「変形性膝関節症」とX線検査で診断された人は、そうでない人に比べ、要介護になるリスクが5.7倍高かったそうです。また地方に住む人は、都会に住む人に比べ、要介護になるリスクが1.6倍高かったこともわかったそうです。

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それでは、前記にも登場した膝疾患の代表とも呼べる「変形性膝関節症」について詳しく説明いたします。

この疾患の予防をし再発を防ぐことができれば、健康寿命が延びるのは勿論のこと生活の質(QOL)を落とさずに一生要介護にならずに済みピンコロで人生を謳歌できると云っても過言ではないと思います。 この疾患の最大の特徴は、原因はないのに歩くと痛かったり階段を降りる時に特に膝の内側に痛みが生じます。まれに腫れや熱感、関節水腫も溜まります。(俗にいう膝に水が溜まった状態のこと)リスクファクターとしては女性で肥満、O脚の高齢者で罹患率が上がります。診断はX線検査で容易に行われるそうで、日本人は特に膝の内側の軟骨がすり減って摩擦が起き、骨と骨との間の隙間が狭くなり痛みを生じさせます。 整形外科的な治療と致しましては、消炎鎮痛薬を服用したり湿布剤を貼る等の薬物療法が中心ですが、最近は軟骨成分のひとつであるヒアルロン酸を注入する先生が多くなった気が致します。 この薬物療法に運動療法や物理療法を加えそれでも症状が緩和せず日常生活に支障をきたすようであれば、その症状の進行状態に合わせ関節鏡視下手術や変形した骨を切り取り金属で固定する骨切り術や人工関節置換術などの手術をします。

当院でもこの様な患者さんがご来院になられた際には、問診をしっかり行い視診と触診で腫れがあり熱があれば氷で患部を15分程冷やしながら物理療法を行いますが、特に炎症症状が軽減してきてからは運動療法に治療方針を転換させ、膝の裏がしっかり伸びて歩けること、痛みなく正座ができることを目標にして先ずは標準体重(身長m×身長m×22で計算)を超えているようであれば、食事から見直しウェイトのコントロールを行いながら進めて行きます。

ポイントは2つあります。 一つ目は膝を支える筋肉を鍛えること二つ目は膝の動きを全体的によくすることです。

Point1 膝を支える筋肉を鍛える 1)太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)を鍛える方法Ⅰ   ①椅子に腰かける   ②片足の脚を水平に伸ばす  ③5~10秒そのままでいる(息を止めずに)   ④元に戻す

2)太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)を鍛える方法Ⅱ   ①膝を伸ばして座る   ②膝の下にバスタオルを丸めたものや枕、バランスボールミニを置きそれらを膝の裏で押す   ③5~10秒そのままでいる(息は止めない)   ④力を抜く

3)太ももの外側の筋肉(中臀筋・大腿外側筋膜張筋)を鍛える方法   ①横向きに寝る   ②上の脚を伸ばしたまま股を開くように20cm程ゆっくり上げる   ③5秒ほどそのままでいる(息は止めない)   ④ゆっくりおろす

4)太ももの内側の筋肉(内転筋群)を鍛える方法   ①仰向けで寝る   ②軽く曲げた膝の間に枕やバランスボールミニを挟む   ③5~10秒ほど力を入れて間に挟んだ物を落とさずにキープする(息をとめない)   ④ゆっくり力を抜く

以上の運動を、一日20回を最大限とし朝昼晩に分けて行う。くれぐれもやり過ぎには注意し、痛みが発生したり増したりする場合は運動は中止してください。

Point2 膝の動きを全体的によくする 1)膝の曲げ伸ばしをよくする方法Ⅰ

 ①脚を伸ばして座り、かかとの下にタオルをおく   ②かかとをゆっくりすべらせて、膝をできる限り曲げる   ③かかとをゆっくりすべらせて、膝をできる限り伸ばす

2)膝の曲げ伸ばしをよくする方法Ⅱ   ①湯船の中に脚を伸ばして座る   ②かかとをゆっくりすべらせてひざをできる限り曲げる   ③かかとをゆっくりすべらせてひざをできる限り伸ばす

3)膝の裏のかたさをとる方法   ①脚を伸ばして座る   ②膝に力を入れ、つま先を伸ばして5秒ほどそのままでいる(息を止めない)   ③膝に力を入れ、つま先をそらせて5秒ほどそのままでいる(息は止めない)

以上が自宅で出来る簡単OA(変形性膝関節症)予防体操です。


毎日行う事が困難な方や面倒な方は一日一回でも週に2回でも結構ですのでコツコツ始めてみてください。筋トレはたとえ百歳になろうとも行いさえすれば筋繊維が肥大し筋肉が付きます。問題はやるかやらないかだけです。

「人間は脚から老いてくる」という言葉がございますがまんざら嘘でもなく、我々の身体にはエネルギー(熱)がございます。この熱は筋肉によって造られると云われております。筋肉が痩せ減少するとおのずと身体に必要なエネルギーが造られにくくなり身体の熱量が減ると低体温化が進行し身体の病気に対する抵抗力や免疫力、回復力までもが低下しいずれ死に至る訳です。

『笑ってぽっくり死ぬためには健康であらねば!』ですね。

                        かわい接骨院・じょんのび治療室                                 主宰 川合 晃生

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