突然ですが以下の項目にあてはまる項目があればチェックを入れてください。
□朝起きるのがつらい。 □熟睡できず、朝に目が覚めても疲れが取れない。 □甘い物や塩分が濃い物(しょっぱいもの)が好き。 □エネルギーが不足している感じがする。元気が出ずだるい。 □今まで出来ていた日常的なことをするのに一苦労する。 □性への興味が低下している。性欲がない。 □ストレスにうまく対応できない。小さい事でもイライラし、人に八つ当たりする。 □風邪呼吸器の感染症(気管支炎、副鼻腔炎など)に罹ってなかなか治らない。ぶつけた傷 なども治りにくい。 □ベッドや椅子から立ち上がると、クラクラしたり、目の前が真っ暗(真っ白)になったりする。 □気持ちが落ち込む。“うつ”っぽい気がする。 □人生に何の意味も見いだせない。楽しいことがない。 □PMS(月経前症候群)が悪化している(月経の数日前から月経が始まるまでの間に、腹痛、 頭痛、肩こり、むくみ、便秘、下痢や眠気、気分の落ち込が激しくなる症状)。 □コーヒーやコーラなどのカフェインの入った飲み物やチョコレートを口にしないと、や る気が出ない。 □ボーッとすることが多い。集中力が低下した。 □物忘れをすることが多くなった。昼間に何を食べたか思い出せないなど、記憶力が落ち た気がする。 □食事をスキップするとぐったりしてしまう。 □甘い物を食べると元気になるが、その後だるくなる。 □我慢が出来なくなり、急にキレてしまう。 □夕食後の午後6時以降になると少しずつ元気になってくる。
以上の項目に三つ以上チェックが入れば、あなたは副腎疲労に罹っている可能性があります。 正確な副腎の位置はどこにあるかお解りですか? まさか初めて副腎という言葉を聞いたという方はいらっしゃらないと思いますが、身体の背面側に左右一対の腎臓がありますが、副腎はそのそら豆のような形をした腎臓の上にちょこんっと乗っている小さな臓器です。 たまたまヒトが進化の過程で四足歩行から二足歩行になった時に上から副腎が落ちて偶然にも腎臓の上に乗っただけで、腎臓とはまったく関係もなく、泌尿器でもなくて、副腎とは一言で云うと、我々人間が元気で楽しく生きていくために必要なホルモンをつくる生産工場です。 副腎は左右に一つずつあり、脊椎の近く、ちょうど一番下の肋骨の真下にあります。右の副腎はピラミッドのような形をしているのに対し、左は半月状です。それぞれ幅が3~5cm、厚さは6mm程度と薄く、重さは一つが約3~5gしかないそうです。 副腎皮質という表面の組織が、内部にある副腎髄質という組織を覆っています。 皮質はさらに三層構造になっていて、外側から球状帯、束状帯、網状帯と呼ばれる組織があります。
先ほど副腎はホルモン生産工場だと書きましたが、主にストレスに対処するホルモンを作ります。その種類は100種類以上にも及び、それぞれが複雑に絡み合い作用を織成しながら体のエネルギーを作る様に働いています。我々の体の臓器の中で、これだけの多くのホルモンを生産・分泌しながら、さまざまな役割を担っている器官は皆無です。小粒ながら生命の維持機能を司る、百万石の臓器です。 逆に云うと、ストレスが長期間に渡り蓄積され続けて副腎にダメージを受けてしまうと、その機能の複雑さゆえに、全身に様々な症状が現れます。それが、今回のテーマであります副腎疲労症候群(アドレナル・ファティーグ)と呼ばれているものです。
100種類以上ものホルモンを生産分泌する副腎ではありますが、その中でも特に重要な働きをするホルモンはコルチゾールとDHEA(若返りのホルモン)です。
先ずはコルチゾールですが、我々人間はストレス(負荷)を受け続けると、副腎はそれに対処する為に盛んにコルチゾールを生産します。
コルチゾールが過剰に分泌される状態が続くと、副腎が疲れ果ててコルチゾール自体を作らなくなり、ストレスと戦えなくなってしまいます。
すると、免疫機能が低下し、さまざまな問題が体に生じます。
特にコルチゾールは睡眠を誘導するホルモンであるメラトニンと相対するホルモンの為、コルチゾールの分泌量が夕方以降になっても高いと、脳の松果体から分泌されるメラトニンが出なくなり睡眠障害を惹き起こします。 その他にアレルギーが重症化したり低血糖症をまねいたりします。
副腎皮質の一番内側にある網状帯では、アンドロゲンという男性ホルモンが主に作られます。男性ホルモンは、男の人の精巣で作られるのでは?と疑問に想われると思いますが、勿論、男性ホルモン、女性ホルモンと言われる性ホルモンは、卵巣や精巣という性腺でおのおのつくられるのですが、男性にも女性ホルモンがございますし、女性にも男性ホルモンがあります。 そのホルモンはそれぞれどこで作られるかというと実は副腎なのです。 性ホルモンの主な生産地は卵巣や精巣という生殖器、副腎は第2の生産地というわけです。
若返りのホルモンとして話題になっているDHEA(デヒドロピアンドロステロン)は、アンドロゲンの一種で“ホルモンの母”と呼ばれるスーパー・ホルモンです。 なぜかというと、副腎で生産・分泌されたDHEAは血液中に流れ、細胞に浸透していき、性別にかかわらず、男性ホルモンのテストステロン、女性ホルモンのエストロゲンへと変化していくからです。 男性にとっては、副腎は男性ホルモンの第2の生産地、女性ホルモンの唯一の生産地。女性にとっては、女性ホルモンの第2の生産地、男性ホルモンの唯一の生産地となります。 卵巣や精巣の働きが悪くなったときでも、副腎から出る性ホルモンが、“女らしさ”“男らしさ”を援護してくれるという訳です。
最近話題になっている『草食系男子』は実は副腎疲労が原因かもしれませんし、30代ですでに更年期障害と同じ様な症状が出でいる方が多い気が致しますが、これも副腎疲労が原因している恐れがございます。
副腎皮質ホルモンを総括してステロイドホルモンといいますが、この言葉なら皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか? よくステロイド剤としてアレルギー疾患等でお医者様が処方して下さいますよね!正常の方であれば一日20mgのステロイドが副腎から分泌するのですが、感染、心筋梗塞や脳梗塞などの発作、外傷、手術などのストレスに際して副腎からは最大で約300mgのステロイドが分泌されるそうです。 そして少しずつ副腎が疲労しやがて機能しなくなり、2つある副腎が両方機能しなくなると、人間は30分で死んでしまうとさえ云われております。
副腎髄質から生産・分泌されるホルモンの代表が“戦うホルモン”として有名なアドレナリンです。 アドレナリンには血糖量を高める作用もあり、インスリンと拮抗しながら、血糖値の調整も行います。アドレナリンの他にノルナドレナリンやドーパミンもありますが、これらはいわば興奮を惹き起こす覚醒性の神経伝達物質でこれらのホルモンが過剰に分泌されると、興奮や不安などの状態が続き、過剰な活動に走り、生命の危機にも晒されます。 これを抑制して気分や意欲を安定させるのが、やはり神経伝達物質の一つである、セロトニンというホルモンです。副腎髄質で作られるアクセル役のホルモンに対して、ブレーキ役がセロトニンです。うつ病ではこれらの神経伝達物質が極度に少なくなるために発症します。 その他副腎疲労症候群が関連している可能性の高い病気として、中高年の女性
に多い線維筋痛症やリウマチ、肺や気管支の慢性的な疾患(肺炎、気管支炎、喘息、インフルエンザ等)ストレス由来の突発性難聴、メニエール病、過敏性腸症候群、耳鳴り、頭痛、低血圧、低血糖症、その他のアレルギー、月経前症候群、アルコール依存症・・・・等が挙げられております。
こんな病気までが副腎疲労と関係していたのかぁと驚嘆致しましたが副腎疲労は自分自身の生活習慣を見直す事で必ず改善するそうです。
次回は副腎を元気にする養生法を中心にお話しさせていただきます。
パートⅠ・パートⅡを通じての≪参考文献≫ 『しつこい疲れは副腎が原因だった』 本間 良子著 祥伝社黄金文庫 『若くて疲れ知らずの人は副腎が元気』 上符 正志著 マガジンハウス 『クロワッサン2014年2/25号』 マガジンハウス 『日本経済新聞2014年2/9号』 日本経済新聞社 『副腎ホルモン産生異常に関する調査研究』 厚生労働省
かわい接骨院・じょんのび治療室 主宰 川合 晃生
Comments